魔導具店『辺境伯の御用達』 ーThe margrave's purveyorー(ザ・マーグレーヴス・パーベヤー)
気遣ってくれるリラフェンをこれ以上心配させないよう、憂いを胸の中に仕舞い込もうとすると、それを遮るように呼びかけが後ろから飛んできた。
「手伝ってくれるっちゅうのはあんたらだよな?」
背の低い太っちょのおじさんが、体を揺すりながらがこちらに駆けてきたのだ。確か彼は、このハーメルシーズ城の物品管理を任されている、ドンホリという上級使用人だ。ここではずいぶん古株らしい。
「ふぃ~……ディクリド様の命令で、急遽武器や防具を倉庫に運び込まなきゃならなくなってな。そっちは男どもでやるんだが、そこに置いてある細々したもんを早々に別の場所に移さなきゃならんのだ。急ぎなもんで、ちゃちゃっと頼むぜ」
アセアセとハンカチで額を拭いながらそう言われれば、私たちはやるしかない。
顔を見合わせながら、でっぷりした体格の彼に付いてゆくと、その内お城の離れにある倉庫群へと辿り着いた。
「少々埃っぽいが、我慢しとくれよ。よいせっと……」
長年油を指していないのか、ギギィと耳障りな音を立てて扉が開く――。
「手伝ってくれるっちゅうのはあんたらだよな?」
背の低い太っちょのおじさんが、体を揺すりながらがこちらに駆けてきたのだ。確か彼は、このハーメルシーズ城の物品管理を任されている、ドンホリという上級使用人だ。ここではずいぶん古株らしい。
「ふぃ~……ディクリド様の命令で、急遽武器や防具を倉庫に運び込まなきゃならなくなってな。そっちは男どもでやるんだが、そこに置いてある細々したもんを早々に別の場所に移さなきゃならんのだ。急ぎなもんで、ちゃちゃっと頼むぜ」
アセアセとハンカチで額を拭いながらそう言われれば、私たちはやるしかない。
顔を見合わせながら、でっぷりした体格の彼に付いてゆくと、その内お城の離れにある倉庫群へと辿り着いた。
「少々埃っぽいが、我慢しとくれよ。よいせっと……」
長年油を指していないのか、ギギィと耳障りな音を立てて扉が開く――。