笑顔になれるココア
「今までも、沢山の人笑顔にしましたけど、
これからも、笑顔にしますよ。絶対」
まるで、決意を表したかのように、
その瞳に、あつい熱を宿す今宵くん。
「ふふっ。それカッコいいっ、」
「うわっ、やば、照れるんですけど、」
「照れてる今宵くんもすき、だよ」
「...............っ、ズルすぎます、」
今宵くんは、密かな人気のある、
小さなカフェの、メガネをかけた店長さんで。
みんなに、
〝笑顔になれるココア〟を届けられる存在。
だけど...........................
「私のイチオシは、
今も昔も、今宵くんだからね」
照れた顔をしながら、
ココアを運ぶ今宵くんの背中にそう呟いた。
姫華ちゃんにカフェに誘われても、
あんまり乗り気になれなかったのは。
今も昔もイチオシの彼、
──────今宵くんがいるからだって。
fin.