『メガネ男子』に囲まれて
第四章

突然の展開!

 「青木君、貸して、メガネ」とニコリと笑う葵。
 彼女の笑顔に明らかに動揺してる強面青木。
 細長ノンフレの下の切れ長の目の視線が
下に動く。
 『葵の笑顔攻撃』に身動きとれなくなった青木、
自分の顔から細長ノンフレのメガネを取ると彼女に渡した。
 「ありがとう」
 と言った葵は青木からメガネを受け取ると、
自分の綺麗で清潔なハンカチを取り出すと拭きだした。
 その様子を見た青木は、
 「浜辺、ありがとな」とボソリと言った。
 青木の言葉を聞いた葵、
 「いいよ、気にしないで。はい! これでよし」
 と言うと青木にメガネを渡した。
 青木が葵からメガネを受け取ろうとしたその時、
葵の瞳が青木を見つめているのがわかった。
 「浜辺?」と青木が不思議そうに葵に聞いた。
 「青木君の目切れ長でいいよね」
  と葵がボソリと言った。
 「青木君の目、切れ長でいいよね、いいよね? 
いいよね? 俺が? 俺の目が?」
 と青木は葵の言葉に驚く。
 同時に青木と葵の会話を一言一句漏らさぬように
聞き耳を立てる六つの耳たぶ……
いや、三人分の耳……。
 「青木の目がいい?」と前の席の井上が呟く。
 「切れ長の目がいい?」右隣の小野田が囁いた。
 「……」
 無言の柴田、シルバーフレームのメガネをかけ直す。
 それを見た青木も、自分の細長ノンフレメガネを
かけ直した。
 葵は後ろを向いたまま、ニコニコと青木の顔を眺める。
 葵はなんとなく青木のことが気になる理由
と何故、自分が青木のメガネを外した姿を見たくなったのかわかった気がした。

 「うん、やっぱり青木君いい! ぴったし」
 彼女は青木の両手を握り、彼に言葉をかけた。
 「青木君、私と一緒に部活やらない?」
 「部活?」
 「うん部活……今日の放課後、見に来てよ。
 約束ね!」
 と言うと葵はクルリと前を向いて授業の準備を始めたのだった。
 
 何だこの展開は……と激しく動揺する青木。
 葵を取り囲む『メガネ男子』の心中も動揺する。
 「なんだ、この展開は……」と考える
『メガネ男子たち』当然の如く、
四人の『メガネ男子』の動揺を察する
こともない葵は放課後が来るのを楽しみにしていた。
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