ショパンの指先
 興奮しながら首を後ろに向けて言うと、洵は目を細めて微笑んだ。

「指導料を貰わなければ」
「お金取るの?」
「違うよ。もっといいものを貰う」

 そして洵は、私の唇を覆いかぶすようにキスをした。吸い上げるような濃密なキスは、身体を一気に熱くさせた。舌を絡め合い、抱きしめ合う。さっき身体を重ね合ったばかりなのに、久しぶりに会った恋人同士のように激しく求め合った。

「んんっ洵」

 堪らず、声が出る。キスだけで身体が火照る。お腹の下がジンジンして、堪らない。

「好き、大好き」

 唇を離して、洵の頬に手をかざしながら告白して、また再び唇を塞ぐ。

「俺も好きだ」

 キスの合間に愛の言葉を伝え合う。

「愛している洵、愛してる」

 何度も何度も愛していると言った。どんなに言っても足りないくらいだった。洵を好きな気持ちが溢れすぎて、言葉に出しても出し尽くせない。

洵は私を抱え、ピアノの鍵盤の上に乗せた。お尻が鍵盤について、ジャーンと音が出た。私のショーツを剥ぎ取り、洵は私の股の間に顔を埋める。生温かい舌先の愛撫に、腰が浮きとろけそうになる。

「洵、ダメ。ピアノが汚れちゃう」
「いいんだ。俺のピアノに杏樹を染み付けたい」

 身体はとても敏感になっていた。ピアノの上に乗って、洵とセックスをするシチュエーションにたまらなく感じる。洵に包み込まれて抱かれているかのようだ。

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