ショパンの指先
それに、こういった業界紙は、イラストレーターの腕よりもコネが重要となる。それなのに、強力なコネを持つ菅井さんを怒らせてしまったのだから、私のしたことは大変なことだったというわけだ。
有村は私に、いかに菅井さんの機嫌を直すのが難しかったかを語った。
銀座の最高級のクラブに行って、その店で一番人気の子にお金を渡して菅井さんと寝るように頼み込んだらしい。
「でもダメだった。一番人気の子に振られていよいよヤバいと思ったら、菅井さんが気に入ったのは新人のヘルプの子だった。それでこっそり新人の子に頼んでみたら、簡単にOKしてくれて、菅井さんの機嫌もすっかり良くなって、2人でホテルに入って行ったよ。杏樹のせいで、予想外に高くついた」
「そうなの。大変だったのね」
「他人事みたいに言うなよ。全部杏樹のせいだぞ」
「分かっている。でも私には責任の取りようがないじゃない」
「一つだけあるだろ?」
有村は薄ら笑いを浮かべた。
「もちろん分かっているわ。ベッドに行きましょう」
有村はバッグを抱えて、私の後ろについてきた。
「痛くしないでね」
「それは杏樹次第だ」
私は、これみよがしに大きなため息を吐いた。気が乗らない。
有村とは、何度も身体を重ねている。そこで分かったことだが、有村には妙な性癖がある。いつもは拒否してきたが、今回は拒否するわけにはいかなそうだ。
有村は私に、いかに菅井さんの機嫌を直すのが難しかったかを語った。
銀座の最高級のクラブに行って、その店で一番人気の子にお金を渡して菅井さんと寝るように頼み込んだらしい。
「でもダメだった。一番人気の子に振られていよいよヤバいと思ったら、菅井さんが気に入ったのは新人のヘルプの子だった。それでこっそり新人の子に頼んでみたら、簡単にOKしてくれて、菅井さんの機嫌もすっかり良くなって、2人でホテルに入って行ったよ。杏樹のせいで、予想外に高くついた」
「そうなの。大変だったのね」
「他人事みたいに言うなよ。全部杏樹のせいだぞ」
「分かっている。でも私には責任の取りようがないじゃない」
「一つだけあるだろ?」
有村は薄ら笑いを浮かべた。
「もちろん分かっているわ。ベッドに行きましょう」
有村はバッグを抱えて、私の後ろについてきた。
「痛くしないでね」
「それは杏樹次第だ」
私は、これみよがしに大きなため息を吐いた。気が乗らない。
有村とは、何度も身体を重ねている。そこで分かったことだが、有村には妙な性癖がある。いつもは拒否してきたが、今回は拒否するわけにはいかなそうだ。