ショパンの指先
有村は、私の髪の毛を上へひっぱり始めた。

「誰のおかげで好きなことができていると思う。え!?」

 有村は最後の語尾をやたら強く言った。髪の毛が抜けそうなくらい強く持ち上げられて、顎が上を向く。

「有村よ。有村のおかげよ!」
「有村様と呼べ!」

 有村は寝室が振動するくらいの大声を出した。私はだんだん怖くなってきた。

 震える唇で、絞り出すように「有村様」と言った。屈辱的だった。

 でも、今の有村は、従わなければ殺されるような、そんな狂気を感じた。

 有村は、私の両足をぐっと開き、固いものを押し込んできた。

 違和感が生じる。

「待って! 違う! ソコじゃない!」

 私は叫んだ。メリメリと割けるような痛みが、身体の中に入ってくる。

「やめて! 本当にやめて! 痛い!」

 お尻の穴に、有村の性器が入ってくる。痛みで目から涙が溢れてくる。

「嫌!」

 私は叫んだ。大声で叫んだ。それでも有村は容赦なく入ってくる。

「ほら、全部入った」

 有村は嬉しそうに言った。

 酷い。酷すぎる。こんなの強姦と一緒だ。

 ひりひりする痛みに耐えながら、嗚咽を最小限にして零していると、有村の腰が動き出した。

「やめてっ!」

 再び私が大声をあげる。暴れる私を有村は抑えつけ、腰を振り続ける。

 痛い。嫌だ。どうして。

 頭が真っ白になっていく。

 痛い、痛い。嫌だ、こんなこと。有村なんて大嫌いだ、大嫌いだ。
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