ショパンの指先
母は怒って私を家から追い出した。住む所がなくて途方に暮れていることを担任に話すと、担任は私を家に泊めてくれた。
担任は独身一人暮らしの若い男だった。若い男に帰る家がないと言って泣きつけば、泊めてくれるかもしれないという思惑があった。
それに、当時は意識しているつもりはなかったけれど、父も学校の先生だったというのも影響していたのかもしれない。
担任の家に泊まるために嘘をたくさん並べた。家に帰れば、無理やり店の客と寝させられる。だから絶対に家に帰りたくないと言った。
一日だけでいいからと。一日だけ泊めてと言った。
そして、その一日で担任と深い仲になった。
次の日から、当然のように私は担任の家へ帰るようになった。そんな毎日が、私が高校を卒業するまで続いた。別にバレて問題になったって構わないと私は思っていたのだけれど、結局気づかれることはなかった。
母は私が先生と同棲していることを知っていたのか、今でも分からない。
母は何も言ってこなかった。時々荷物を取りに家に帰っても、私がどこに泊まっているのかも、聞いてこようとしなかった。ただ、学費と多少の生活費だけは払ってくれていた。それだけでも母に感謝しなければいけないのかもしれないが、私は今でも感謝できずにいる。
私は昔から絵を描くのが好きで、先生の薦めもあり美大に進学しようとしたが落ちた。それでもやっぱり絵を描く以外に好きなことが見当たらず、美術の専門学校に進学することになった。
専門学校に行き、新しい環境に身を置くと、先生のことが重たく感じてきた。
先生から、専門学校を出たら結婚しようと言われた時、ああもう駄目だと思った。私は先生の家を出て、一人暮らしの同級生の男の家に転がり込んだ。
担任は独身一人暮らしの若い男だった。若い男に帰る家がないと言って泣きつけば、泊めてくれるかもしれないという思惑があった。
それに、当時は意識しているつもりはなかったけれど、父も学校の先生だったというのも影響していたのかもしれない。
担任の家に泊まるために嘘をたくさん並べた。家に帰れば、無理やり店の客と寝させられる。だから絶対に家に帰りたくないと言った。
一日だけでいいからと。一日だけ泊めてと言った。
そして、その一日で担任と深い仲になった。
次の日から、当然のように私は担任の家へ帰るようになった。そんな毎日が、私が高校を卒業するまで続いた。別にバレて問題になったって構わないと私は思っていたのだけれど、結局気づかれることはなかった。
母は私が先生と同棲していることを知っていたのか、今でも分からない。
母は何も言ってこなかった。時々荷物を取りに家に帰っても、私がどこに泊まっているのかも、聞いてこようとしなかった。ただ、学費と多少の生活費だけは払ってくれていた。それだけでも母に感謝しなければいけないのかもしれないが、私は今でも感謝できずにいる。
私は昔から絵を描くのが好きで、先生の薦めもあり美大に進学しようとしたが落ちた。それでもやっぱり絵を描く以外に好きなことが見当たらず、美術の専門学校に進学することになった。
専門学校に行き、新しい環境に身を置くと、先生のことが重たく感じてきた。
先生から、専門学校を出たら結婚しようと言われた時、ああもう駄目だと思った。私は先生の家を出て、一人暮らしの同級生の男の家に転がり込んだ。