【短】背伸びしてモックカクテル
「じゃあもしかして、月岡さんは……」
「そう。志緒さんの同級生の月岡は、僕の妹」
開いた口が塞がらないとはまさにこのこと。
でも……それなら、さっき春樹さんが月岡さんに見せていた油断したような表情にも……納得がいく。
一気に力が抜けていくような心地がした。
「妹、普段この店に来ることは少ないんだけど……今日は彼氏とデートに行く前に寄ったらしいんです」
「そうだったんですか……」
「あいつ、最近よく相談してくるんですよ。彼氏の元カノが、あまりに美人で魅力的な人すぎて、本当に自分で良いのか不安になるって」
「は……?」
月岡さんの彼氏の元カノ。すなわち私。
話し方からして、恐らく春樹さんもそのことを知っている。
「志緒さんってそんなにいる名前でもないし、制服で妹と同じ高校なのは知ってたから、貴女のことだっていうのはすぐにわかった」