【短】背伸びしてモックカクテル




「じゃあもしかして、月岡さんは……」


「そう。志緒さんの同級生の月岡は、僕の妹」




 開いた口が塞がらないとはまさにこのこと。

 でも……それなら、さっき春樹さんが月岡さんに見せていた油断したような表情にも……納得がいく。


 一気に力が抜けていくような心地がした。




「妹、普段この店に来ることは少ないんだけど……今日は彼氏とデートに行く前に寄ったらしいんです」


「そうだったんですか……」


「あいつ、最近よく相談してくるんですよ。彼氏の元カノが、あまりに美人で魅力的な人すぎて、本当に自分で良いのか不安になるって」


「は……?」




 月岡さんの彼氏の元カノ。すなわち私。

 話し方からして、恐らく春樹さんもそのことを知っている。




「志緒さんってそんなにいる名前でもないし、制服で妹と同じ高校なのは知ってたから、貴女のことだっていうのはすぐにわかった」



< 18 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop