【短】背伸びしてモックカクテル




「まあでも、志緒さんの言う通り、これはただのオレンジジュースです。だから──本当のスクリュードライバーをお出しできるようになったら、改めて言うことにします」


「えっ、つまりお酒を飲める歳になったらってことですよね? まだ2年ぐらい先なんですけど」


「今から楽しみですね」




 春樹さんは人差し指を立てて口元に当てて微笑む。

 その仕草についドキリとした私は、誤魔化すようにオレンジジュース……もといノンアルコールスクリュードライバーを一気に半分ぐらい飲んだ。


 ただのオレンジジュース。──だけど間違いなく、これまで飲んだオレンジジュースの中で一番美味しかった。




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