彼はチョコレートの香り


「・・すみません・・・それだけですわざわざ、ありがとうございます」

一宮の声は最初とは比べ物にならないくらい沈んでいた

俯いてそう言う一宮に声を掛けられない自分

何に腹を立てているのかさえわからないでいる

一宮に背を向けて歩きだしたとき、一宮がこっちを見ているのが直ぐにわかった

あえて振り向かない

それがお互いのためだと思ったんだ

一宮にとっても、

俺にとっても





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