目隠しの姫君
その日の夜はなんだか寝付けなかった。
あたしらしくない。
あー、寝不足。
あくびを噛み殺す。
夢に見るのは
慎の顔で。
あの笑顔で。
また
胸が騒ぎ出す。
「オッス、清」
ぺしん、とあたしの頭を叩く。
「はよ…」
突然の慎の出現に、頭を叩かれたにもかかわらず、あたしは反論出来なくて。
「…どした?お前らしくねぇな」
慎も、てっきりあたしが叩き返して来ると思ってたのか、首を傾げてる。
「あ、ごめんごめん」
そう言って、あたしは慎の頭をぺしっと叩く。
「なんだそれ!?時間差攻撃か!?」
あ、
良かった。
普通に話せてる。
いつも通り笑えてる。
良かった。
何も変わってなんかない。