目隠しの姫君


「おは、慎!!
おっまえ昨日、田辺さんといい感じだったじゃん!
実際どうなんだよ!?」


次の日、教室に入るなり、クラスメートの森田が慎に問いかけた。


…………!


まわりの音が聞こえないくらい、その会話に集中してるあたしがいて…


慎の次の言葉が気になってしょうがなかった。



「うるせーよ。なんもない」



その瞬間、慎と目が合った。


慎の顔は、なんだか少し顔が赤い気がして…


なんもない、と言った慎の言葉は、あたしにはまったく説得力なくて。


あたしは慎から目をそらす。




上手くいってるくせに。



隠さなくてもいいじゃん。







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