目隠しの姫君
イライラが募る。
目をそらしたあたしに、慎が話しかけてきた。
「清?お前なんか変。どした?」
……どーせ、変です。
田辺さんとは大違いだもんね。
「どーもしない」
「嘘つけ。眉間にシワ寄ってるし」
あーもう!
「慎には関係ない」
ほっといてよ!
だけど…言ったとたん後悔が押し寄せて。
関係ないなんて、あたしが言われたら悲しいもん。
だけど、発した言葉はもう元には戻せなくて…
ああ…なにやってんの。
慎は何にも悪くないのに。
…ポンポン
その時、あたしの頭に優しく降ってきた、
慎の…手。
「やっぱ、お前変。体調悪いんなら言えよ?」
そう言って優しく笑う慎は…なんだか大人で。
「……うん」
あたしはそれしか言えなくて。
慎は、もう一回、あたしの頭をポンとして行ってしまった。
あたしの心はなんだかおかしくて。
あの笑顔で、田辺さんに笑いかけるのかな、とか
あの手で、田辺さんにも触れるのかな……とか
あたし…………