目隠しの姫君
次の日、葉月の家を出て。
ゆっくり歩いて家へ向かう。
……いい天気だなぁ。
再出発にはうってつけの陽気じゃない?
今日は日曜日で、
公園は家族連れで賑やか。
気分も上向き。
〜♪♪♪
あ、メール?
携帯を開くと…
『慎』の表示。
―――!
あたしの心臓は激しくなる。
『おはよー。
昨日はハラ大丈夫だったかー?
あんまり食い過ぎんなよ』
……バカ慎。
あたしなんかにメールしてる場合じゃないよ。
「滅多にメールなんかしないくせにぃー…」
やめてよ。
あたしの気持ちを引き寄せないで。
遠くにしまった想いの蓋を
開けないでよ。
………泣かない。
慎を想うのは昨日で終わらせたんだから。
「よし!」
気合いを入れて。
「眩しぃー」
あたしは輝く太陽を見上げて
歩き出す。