目隠しの姫君


なんだか、ドキドキしてるあたし。


いつも通りの教室のドアに、こんなに緊張するなんて。


転校生かあたしは(笑)


「何やってんの??」


「しっ…慎!おはよっ」


びっくりした。


まさか後ろから来るなんて。


フェイントだ。


「はよー、今日は元気だな?」


「うん。めちゃ元気」


あたしは笑顔で答える。


「なら良し」


「なんか慎、上目線〜」


「何だそれ。せっかく人が心配してんのにー」


心配してくれるんだ。


優しいね。慎。


でも、いいんだよ?


他の子に構ってないで。


一番大切な子を不安にさせたら駄目だよ?


「心配なんかいらないのー!」


「……お前だから心配なんだよ」



――――何、それ。


「はぁ?あたしそんなに頼りないわけ?」


「そうじゃなくてさ…」


「お前ら席つけよー」


何か言いかけてた慎の言葉は、担任の一言に遮られた。



それからあたしは、後ろにいる慎の視線を背中に感じながら


ずっと、振り向けないでいた。


何?


何なの?


何か変だよ。


慎……?




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