目隠しの姫君
「たーだいまあ」
「おー清。久しぶり!」
「えっ、千夏兄!?」
千夏兄は、あたしの5つ上のアニキで。
今は県外で働いていた。
「どうしたのっ!?」
「最近、帰って来てなかったからさあ。
それにしてもお前、もうちょっと女らしく…」
「またその話ぃ〜?」
千夏兄は特に、あたしが中学生になった頃から女の子らしくしろってウルサイ。
「そう言えば、和人と武志は?」
「いつも7時頃だよー」
……そう。
ウチは完璧、男所帯なのだ。
女は母さんとあたしだけ。
生まれた時から、アニキが3人もいたらこーなるって。
父さん達は、やっと授かった女の子だからと、あたしをそれは女の子らしく育てようとしたみたいだけど…
結果、
今のあたし。
少し申し訳ない気もするけど…
女の子らしいあたしなんて
想像つかない。