目隠しの姫君


「たーだいまあ」


「おー清。久しぶり!」


「えっ、千夏兄!?」


千夏兄は、あたしの5つ上のアニキで。


今は県外で働いていた。


「どうしたのっ!?」


「最近、帰って来てなかったからさあ。
それにしてもお前、もうちょっと女らしく…」


「またその話ぃ〜?」


千夏兄は特に、あたしが中学生になった頃から女の子らしくしろってウルサイ。


「そう言えば、和人と武志は?」


「いつも7時頃だよー」


……そう。


ウチは完璧、男所帯なのだ。


女は母さんとあたしだけ。


生まれた時から、アニキが3人もいたらこーなるって。


父さん達は、やっと授かった女の子だからと、あたしをそれは女の子らしく育てようとしたみたいだけど…


結果、


今のあたし。


少し申し訳ない気もするけど…


女の子らしいあたしなんて


想像つかない。






< 6 / 54 >

この作品をシェア

pagetop