ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
土曜日はお客様が多くて対応が大変だった。
翌日の日曜日、本来は遅番だったが店長がいないために朝一から出社した。
十二時を過ぎると、先に休憩に入った。ごはんどきならお客様が少ないからだ。
食堂でパスタを注文し、席に着く。
フォークでくるくると巻いて、ふう、とため息をついた。
萌美が憲士になれなれしいのは前からだったが、彼女はいつも男性になれなれしい。だから二人がそんな関係に発展しているとはまったく気が付かなかった。
つきあって半年になるが、お互いに忙しくてまだキス止まりの関係だった。それも破局に影響しているのだろうか。だが、こうなってしまえば体の関係までいっていなくて良かったとすら思える。
嫌なことなんて忘れよう。
そう思って、スマホで誕生石であるガーネットを検索する。
ガーネットは柘榴のような赤色がメジャーだが、グリーンやブルーも存在する。
柚花が気になっているのはブルーガーネットだ。マダガスカルのベギリー地区からしか取れないので、ベギリーブルーガーネットとも言われる。
人に教えられてブルーガーネットを知ったのだが、二〇一七年にアメリカの宝石研究機関によってその存在が明らかにされたという。
希少性が高く、光源によって色を変える。自然光だと青や緑、白熱灯のもとでは赤や紫と、カラーチェンジ効果が表れる。
石言葉は「忠実」「真実」「愛」で、青色の癒しと赤色の情熱、二つのパワーを持つと言われている。