ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「えー、でもお」
「従業員間での馴れ合いはお客様に不快を与えます」
 びしっと言い切られ、萌美は不満そうに、はあい、と答えた。

「私は二十四歳なんですけど、おいくつなんですか?」
「三十二ですよ。あなたから見たらおじさんでしょう」

「大人って感じで素敵です!」
 萌美はきゃぴきゃぴと答える。

 京吾は柚花に目を移した。
「久しぶりですね、深雪山さん」
「お久しぶりです」
 柚花は深々と頭を下げる。

 まさかここ会うなんて思いもしなかった。「知ってる人だよ」とメールで答えた人は、自分を驚かせようとしたのだろう。

「深雪山さん、知り合いなんですか?」
 沙知絵が尋ねる。

「私が新人だったときに教育係だった方なの。当時の安曇さんは銀座店の店長だったのよ」
「優秀な方なんですね」
 沙知絵が感心したように言う。

「私は五年ぶりの日本勤務なので、みなさんに教えていただくことのほうが多いと思います。よろしくお願いします」
 京吾はそういって綺麗なお辞儀をした。
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