ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
 その後は仕事に戻ったのだが、萌美は京吾にまとわりついて離れなかった。

「こっちは結婚指輪のコーナーで、こっちはファッションリングのコーナーで」
「見ればわかるから大丈夫ですよ」
 彼は笑顔のままでつきはなすようにあしらっていた。

「あれでよくあきらめないね」
 沙知絵があきれて柚花に耳打ちする。柚花は苦笑を返すしかなかった。

「伯父がこのお店の支配人なんですよ。だから困ったことがあったら私に言ってくださいね!」
 萌美の言葉に、京吾は笑みを見せた。

「支配人から聞いておりますよ。くれぐれもよろしくと言われています」
「くれぐれもなんてえ」
 うれしそうに萌美が体をくねらせて、沙知絵はあきれたため息をついた。柚花は苦笑して彼女の腕を軽く叩き、仕事に戻る。

「深雪山さん、売上データはこのファイル?」
 きかれた柚花は隣に並んでノートパソコンを覗き込む。
「それです」
 京吾がクリックして開くのを、隣でそのまま眺める。

「指輪が圧倒的に多いね」
「海外ではどうなんですか?」
「世界の統計で見ると、女性はピアス、男性はネックレスを買うことが多いですよ」
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