ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「海外だと男性も自分用のジュエリーを買うんですね」
「日本よりは多いですね。ネットでは指輪が多く検索されているようです」
 言いながら、京吾はこの店の客層と売れた商品を見ていく。

 その姿を見ながら、もし京吾にならなにが似合うだろうか、と頭の隅で考える。

 彼ならきっと青が似合う。
 目の色に合わせて琥珀もいいが、琥珀は不純物が多いイメージがある。それよりも彼は青がいい。

 天然石はどうしても色にばらつきがあるが、彼には深い青が似合いそうだ。
 思った直後に、ブルーガーネットが頭に浮かんだ。その石を教えてくれたのが彼だからだろうか。

「思ったより客層がばらついてますね。日本のデパートはもう若者は来ないかと思っていました」
「デパート側もお客様に来ていただくために頑張ってますから。加えて自粛生活の反動消費の影響も残っていますし、インバウンドの需要も大きくて」

「それよりぃ!」
 二人の間にぐいっと萌美が割って入った。

「明日の懇親パーティー、京吾さんも来ていただけますよね?」
「そういえば、支配人がそんなことを言ってましたね」

「ぜひ来てくださいね」
 京吾の手を取り、萌美は微笑む。
 キラースマイルだ、と柚花はうんざりした。あの輝くような笑顔にたいていの男はやられる。

「ありがとう」
 手をほどきながら京吾は笑顔を返した。
< 19 / 100 >

この作品をシェア

pagetop