ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「お店にトラブルはつきものですからね。銃を持った強盗じゃなくて良かったですよ」
 京吾は微笑して答える。

「海外ではそんなこともあるんですか?」
「私のいた店ではありませんでしたけどね。一応、強盗の対策はいろいろと学びましたよ。個人的にも護身術を習いに行きました」

「海外勤務は大変ですね」
 日本でも強盗の心配はあるが海外ほどではないだろうし、デパートの店舗なら路面店よりは可能性は低いと思われた。

「ああそうだ、連絡先を教えてくれませんか」
「え?」

「仕事上、必要だと思いまして」
 京吾の言葉に、柚花は恥ずかしくなった。一瞬、プライベートで聞かれたのかと思ってしまった。

「そ、そうですね。私は研修のときから電話番号変わってませんから」
「私もです。って、もう君は消したかな」

「ちゃんと残してあります」
 ちゃんと、って。自分の発言に脳内で突っ込み、また恥ずかしくなった。

「なんかうれしいな」
 また京吾が笑みに目を細める。

 心臓がずきゅんと撃ち抜かれたが、柚花は必死に営業スマイルを顔にはりつけた。
 ダメだ、イケメンが微笑むと破壊力がすごい。
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