ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
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翌日、駅で緊張して待つ柚花の目に、改札を出て来る京吾の姿が映る。
背の高い彼はその美形オーラも相まって、ひときわ輝いて見えた。
彼は柚花に気が付くと軽く手を上げて合図し、小走りに駆け寄る。
「お待たせ」
「大丈夫です」
柚花は赤くなりそうな自分に気が付き、胸に手を当てた。鼓動を早める心臓に、落ち着け、と命令する。
「深雪山さん、素敵なワンピースですね。よく似合ってます」
笑顔で言われて、心臓がどきんと跳ねた。
「ありがとうございます」
仲のいい友だちの結婚式に行くときに買ったもので、深いグリーンのお気に入りだ。一度着たきりでもったいないと思っていたから、着る機会があるのはありがたい。
その上、と胸の前でぎゅっと拳を握る。
憧れだった京吾に褒めてもらえた。あのとき奮発して良かった。
髪型もお化粧も、彼と出かけるのだからと気合を入れてしまった。早くから起きてシャワーを浴びて、念入りに肌を整えてから化粧をした。髪は夜会巻きにして、とっておきの髪飾りを差し、久しぶりにコテを出してサイドの髪を巻いて垂らした。
「そのイヤリング、研修のときに買ったやつですよね」