ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
 先ほどから感情が激しく上下して、心臓が追いつかずにパンクしそうだ。こんなの、偽装のために彼が言ってくれているだけなのに。

「嘘よ。だって会ったばっかりで」
「本当ですよ。彼女が研修で私の下についたときから彼女が好きでした。やっと日本に帰ってこられて、ようやく彼女に告白できたんです。口説き落とすことができてほっとしていますよ」

「……だとしても、フラレてすぐに男と付き合うような人、速攻でほかの男と浮気しますよ」
「そんなことしません!」
 柚花は思わず言っていた。その姿に、京吾はふっと笑う。

「私が離しませんから」
 肩を抱く手にぐっと力を込められ、柚花はどきっとした。

「京吾さんほどの人なら、お付き合いする人は慎重に選ぶべきよ」
 むすっとして萌美が言う。

「ご心配どうも。ですが彼女以上の人はいませんから」
 さっきから、どうして平然とそんなことが言えるんだろう。
 心臓が大運動会を始めてしまい、柚花はもう京吾を見ていられない。

「つきあってるって本当なのか?」
「……本当です」
 憲士に聞かれ、柚花はそう答えた。彼が敬語ではないのは、取り繕う余裕をなくしているのだろうか。

「お話し中失礼」
 声をかけられて顔を上げると、デパート支配人の進がいた。
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