ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「すみません、柴原支配人。私たちはこれで失礼させていただきます」
「こちらこそ、姪が申し訳ない」
 京吾と進がお互いに頭を下げ合い、柚花もまた頭を下げた。

「えー、京吾さんも帰っちゃうのぉ?」
 萌美が子どもっぽく頬をふくらませる。

「お前もきちんと謝りなさい」
 言われた萌美はむっと唇を尖らせる。

「私、さっきちゃんと謝ったのに」
「萌美」
 咎められ、萌美はさらにふてくされる。

「大丈夫ですよ。失礼します」
 柚花はまた頭を下げる。
 京吾に背を押すように促され、柚花は彼とともにしょんぼりと会場をあとにした。



 退室した柚花はお手洗いに寄ってワンピースを拭いた。だが、ちょっと拭いたくらいでは汚れはきちんと取れなかった。
 お手洗いを出ると、京吾は壁に寄りかかって柚花を待っていてくれた。
 どんなときも絵になる、とつい見とれそうになった。

「汚れ、大丈夫そうですか?」
「これが限界です。帰ったらすぐにクリーニングに出します」
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