ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
 柚花は営業スマイルで京吾に返した。
「来たばかりなのに帰ることになってすみません」
「支配人には挨拶しましたから大丈夫です。それよりそのまま電車に乗るのは嫌でしょう。タクシーを呼びましたから」

「え、でも」
「実は私は寄りたいところがありましてね。つきあってくれませんか?」

「こんな格好で……」
「そんな格好だから」
 京吾に穏やかな笑みを向けられ、柚花は不思議に思いながら頷いた。



 ホテルを出て、すでに待っていたタクシーに二人で乗り込む。
 彼が告げた目的地に、柚花は目を丸くした。

 それって、まさか。
 疑う柚花に、京吾が言う。

「ちょっとお願いがあるのですが」
「はい」

「敬語、やめていい?」
「――はい」

 思いがけない言葉に、柚花は戸惑いながら頷く。
「良かった。なんか他人行儀で嫌だったんだよね」
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