ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「深雪山さん、良い人すぎる」
沙知絵はあきれたように言った。
実際、自分は良い人なわけじゃないが、一緒になって愚痴を言い始めたら、なおいっそう萌美が苦手になってしまいそうで、自分にストップをかけているだけだ。
「深雪山さん」
声をかけられ、柚花は振り向いた。
関口憲士だった。このデパートの外商だ。
沙知絵が会釈をして立ち去ると、憲士は柚花にそっと言う。
「この前の見立て、助かった。スター効果のあるピンクサファイアを気に入って買ってくれたよ」
「良かった。スターサファイアはお持ちでも、ピンクはお持ちじゃないと思ったの」
先日、彼に「横川さまの奥様が指輪を欲しいと言ってるけどなにがいいかな」と相談されて、柚花はスター効果のあるピンクサファイアを勧めたのだ。横川夫人は珍しい宝石を好むから、日本ではまだなじみの薄いスフェーンや星のような輝きを見せるスターサファイア、その中でもピンクの物などを見繕って憲士に希少性を説明しておいた。
恋人である彼の役に立てたのが素直にうれしい。
彼とつきあっていることは内緒だった。パリュールだけを贔屓していると思われたら困るからだ。
「今夜、ちょっと時間とれない? 話があるんだ」
「話って?」
「ここじゃ言えないから」
「今日は遅番だから、八時半を過ぎるよ?」
沙知絵はあきれたように言った。
実際、自分は良い人なわけじゃないが、一緒になって愚痴を言い始めたら、なおいっそう萌美が苦手になってしまいそうで、自分にストップをかけているだけだ。
「深雪山さん」
声をかけられ、柚花は振り向いた。
関口憲士だった。このデパートの外商だ。
沙知絵が会釈をして立ち去ると、憲士は柚花にそっと言う。
「この前の見立て、助かった。スター効果のあるピンクサファイアを気に入って買ってくれたよ」
「良かった。スターサファイアはお持ちでも、ピンクはお持ちじゃないと思ったの」
先日、彼に「横川さまの奥様が指輪を欲しいと言ってるけどなにがいいかな」と相談されて、柚花はスター効果のあるピンクサファイアを勧めたのだ。横川夫人は珍しい宝石を好むから、日本ではまだなじみの薄いスフェーンや星のような輝きを見せるスターサファイア、その中でもピンクの物などを見繕って憲士に希少性を説明しておいた。
恋人である彼の役に立てたのが素直にうれしい。
彼とつきあっていることは内緒だった。パリュールだけを贔屓していると思われたら困るからだ。
「今夜、ちょっと時間とれない? 話があるんだ」
「話って?」
「ここじゃ言えないから」
「今日は遅番だから、八時半を過ぎるよ?」