ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
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パーティーを終えて帰った憲士は、先に部屋に来ていた萌美に文句を言った。
「来るなら来るって言えよ」
「言ったよ」
「だいたいお前なんなんだよ、あいつにデレデレで」
「だってかっこいいんだもん。本社の人に聞いたけど、出世間違い無しのエリートだって」
うれしそうに言う彼女に憲士はいらついた。
「俺の前であいつの話はやめろよ」
「いいじゃん別に」
文句を唱えながら、萌美はゴミを投げる。ゴミはゴミ箱のふちに当たって床に落ちた。
「拾えよ」
「あとで」
「今拾えよ!」
怒鳴られた萌美はようやくノロノロと拾い、ゴミ箱に入れ直した。
「柚花ならそんなことしないのに。帰ったらコーヒーを淹れてくれて服を片付けてくれて。料理もうまかった。お前は手料理と言って惣菜を出すし、なんにもしねーな」
「あんたこそ、前カノと私を比較しないでよ」
萌美に文句を言われ、憲士は、ちっと舌打ちした。
まったくもって失敗だった。
柚花は便利だった。ちょっとほめれば部屋の片付けや洗濯など雑用を引き受けてくれたし、朝早いときはモーニングコールもしてくれた。仕事でもお得意への商品選びがうまく、宝石以外でも助言は有効性が高かった。
だが萌美はまったく違う。