ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
夜、客足も途絶えたころだった。
残業していた柚花は京吾とともに支配人の進に呼び出された。店を遅番の沙知絵に任せてふたりで支配人室へ行く。
挨拶を交わしたあと、進は言う。
「今日はアクシデントがあったそうですね」
「はい」
京吾が答え、ジュエリーケースの入った段ボールがなぜか食堂にあったことを伝える。柚花はうつむいてそれを聞いていた。
「お客様からもクレームの電話が入りました。今後はこのようなことのないようにしてください」
「申し訳ございませんでした」
「申し訳ございません。細心の注意を払ってまいります」
柚花に続き、京吾も頭を下げる。
柚花は悔しさに歯噛みした。自分のせいで京吾まで謝るはめになっている。
「原因はわかっているのかね?」
「調査中です」
状況の報告と謝罪を終えて支配人室を出ると、柚花は京吾に頭を下げた。
「申し訳ございません。私のせいです」
「だけど、君は昨夜のうちに棚に入れておいたよな?」
京吾の目の前で片付けていたから、彼もそれは知っている。
「はい。どうして食堂に移動していたのかわかりません」
京吾は考えこむように顎に手を当て、それから柚花を見た。