【受賞】ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~



 閉店作業を終えて店を出ると、スマホを確認した。

 京吾からメッセージが来ていて、『誘っておいて悪いが行けそうにない。急に兄が来てしまって。また後日』とメッセージが来ていた。

 柚花はため息をついてスマホをバッグにしまう。
 刑の執行を猶予された人ってこんな気持ちだろうか。

 いっそ早くとどめをさしてほしい気持ちと、まだしばらくは偽装であっても恋人のポジションでいたい気持ちとがせめぎ合う。

 いい思い出で終わらせておかないといけないのに。
 思ってから、またため息をついた。

 仕事で大きなミスをしたばかりだというのに、どうしてこんなことばかり考えしまうのだろう。

 こんなふうに浮ついているからミスしたに違いないのに。

 だけど。
 柚花は思い返す。

 あれは本当にミスだろうか。
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