ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
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柚花と京吾を見送った沙知絵は、なんだか不穏な感じがするなあ、と不安な気持ちになった。
キャンペーンのミスの話なのだろうか。
わざわざ休みの日に出勤してまで、社員はご苦労様なことだ。
「いらっしゃいませ」
人影に気がつき、沙知絵は声をかける。
「萌美はいますか」
暗い顔をした男はそう尋ねる。
「本日はお休みをいただいておりますが、どのような御用件でしょうか」
予約の品を取りにくるなどの引継ぎは受けていない。
ふと、彼はよく萌美から宝飾品を買っている男性だと気がついた。そして、萌美にいつデートをしてくれるんだ、と言ってもめた男性だ。
「だったら、副店長の女を出せ」
「申し訳ございません、ただいま席を外しております」
ただならぬ雰囲気に、柚花がこの場にいなくて良かった、と沙知絵は思ったのだが。
「嘘だろ」
男性は暗く燃える目で沙知絵をにらみ、彼女は思わず一歩後ずさった。
「萌美と副店長を出せ!」
男性の叫びが、フロア中に響き渡った。