ブルーガーネットな恋 ～エリート上司は激愛を隠して部下に近づく～

「お前、萌美になにをした！」
「なにもしてませんよ」
　いきり立つ奥長に、京吾は冷静に答える。が、それが返って神経を逆なでしたようだった。

「だったらどうして萌美がこんな怯えてるんだよ！」
　怒鳴る奥長の後ろで、萌美はにやあっと笑う。

　柚花は顔をしかめた。
　どうしてこんなときに笑っていられるのか、萌美の神経がわからない。

「お客様、落ち着いてくださいませ」
　二人の間に入って柚花が声をかけると、奥長は柚花をにらみつけた。

「お前だろ、いつも萌美を虐めてる副店長ってのは」
「え？」
　柚花は思わず萌美を見たが、彼女は、ふん、と顔を逸らす。

「しかも、お前が客との交際を禁止してるんだよな。そんな権限、お前にあるのかよ！」
「なにを……」
　柚花はなにを言われているのか、まったく理解できなかった。

「お前がいなきゃ、俺は萌美とつきあえるんだ！」
「なにか誤解があるようですね」
　京吾の言葉に、奥長は再び彼を見る。

「誤解じゃねえよ！　ふざけんな！」
　興奮する奥長に、柚花の心臓が早鐘を打つ。