ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「俺はお前のためにやったのに!」
「こんなこと頼んでない!」

「俺を騙したのか!」
「あんたが勝手にやったのよ!」

「お前が、副店長がいなければって言ったから、俺は……!」
 奥長は拘束から逃れようとするが、京吾はさらにぐっと押さえ込む。

「私のせいじゃないから!」
 叫んで、萌美は走って逃げだした。

「萌美!」
 奥長の叫びが、フロアに虚しく響き渡った。



 目撃したお客様の通報で、結局それは警察沙汰となった。
 デパートに来た警官に彼を引き渡したあと、事情聴取を受ける。
 警察官が引き上げてから、ようやく柚花は息をつくことができた。

 本社の指示で、お店は急遽休業となった。ショーケースに白い布をかけ、デパートから借りた立入禁止のポールを立てて、柚花たちは退店する。

 沙知絵を見送ったのち、従業員用の出入り口で京吾は柚花に尋ねた。

「病院に行かなくて本当に大丈夫ですか」
「はい、大丈夫です」
 心配をかけまいと、柚花は笑顔で答える。
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