ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「緊張しました」
「まさか会長夫人が来るとはね」

「前も気付いてたんですよね」
「そうですね。なにをしに来たのかとは思ってましたが、まさかテレビに影響されたのだとは」
 苦笑する京吾に、柚花は笑みを返す。

「京吾! 来たわよ!」
 声に振り向くと、いつか京吾に抱き着いた美女が小走りにやってきた。

「爽子さん」
「今日は 脩也(しゅうや)も一緒よ」
 遅れて、背の高い男性が歩いてきた。どことなく京吾に似ている。

「柚花さん、紹介します。兄の脩也と婚約者の爽子さん」
 脩也が軽く頭を下げ、爽子が胸の前で軽く手を振った。

 お兄さんの婚約者って、じゃあ……柴原さんが言っていたのは嘘?
 柚花の胸が、知らずどきどきと鼓動を早くする。

「先日はすみません。普段は海外にいる二人が急に来たものですから」
「そうだったんですね」

「兄さん、爽子さん、こちらは俺の恋人の柚花さん」
 恋人って言っても大丈夫なの!?
 連続する驚愕に内心で焦りながら、柚花は笑顔を崩さず会釈した。
< 90 / 100 >

この作品をシェア

pagetop