ブルーガーネットな恋 ～エリート上司は激愛を隠して部下に近づく～

「今日は婚約指輪を買いに来たの。選んでくれるわよね」
「ご自分で選んでください」
　爽子の言葉に、京吾は冷然と返す。

「冷たいわねえ」
「彼女の前で誤解されるようなことをされて、怒らないわけがないでしょう」
　京吾が言い、爽子がぺろっと舌を出して肩をすくめた。

「ごめんなさいね、彼って女に付きまとわれて困ってるってよく言ってたから勝手に恋人のふりをしてあげたの。あとで怒られちゃったわ」
　謝罪する彼女を、柚花はただ唖然と見つめる。

「自分のことは自分でなんとかしますから」
「恋人がいるなら教えてくれたらいいのに」

「いちいち報告することでもないでしょう」
　苦い顔で答える京吾に、柚花は思わずふふっと笑った。



　萌美が欠勤したため、京吾は閉店まで店に残ってくれた。
　沙知絵は一足早く帰り、柚花は京吾と二人で閉店作業をする。

「このあと話をしたいのですが、いいですか？」
　京吾に言われ、柚花はどきっとした。

「大丈夫です」
　答えながらも、胸には不安が湧く。
　なんの話だろう。