ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「俺があの店に行ったのは、君を査定するためでもあったんだ」
「査定、ですか?」
 思わぬ方向の話に、柚花は目を丸くした。

「別の店の店長が辞めることになってね。店長の候補に君が上がっていた」
「私が……」
「それで、君が店長としてやっていけそうかどうか、俺が確認しに行くことになったんだよ」

 もっと正確に言うなら日本に帰ってきたタイミングでその話を聞きつけた京吾が自薦でねじこんだんだのだが、彼はそれを言わなかった。
 そうとも知らずに柚花は頷く。

「そうだったんですね」
 それなら、きっと自分は不合格だ、と柚花は思う。萌美を御しきれず、キャンペーンのケースを隠され、無料配布されてしまった。その上、彼女の客とトラブルを起こしている。

「俺は君が店長にふさわしいと判断し、報告した。結果、君は店長になることが決まった」
「え……?」
 予想外の言葉だった。

「トラブルへの対応も的確で判断も早かった。どのようなお客様にも平等に柔軟に対応する接客の能力がある」
「でも、私は柴原さんの暴走を止められなくて」

「あんなのは誰にも止められない。予想外のことはどの店舗でも発生する。試されるのは対処能力だ」
 確かに、どれだけ気をつけていてもトラブルは発生するものだ。
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