ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「ブルーガーネット!?」
「そう。君の誕生石のガーネット」
 中に入っていたのは、ブルーガーネットの指輪だった。LEDの光を受け、今はピンク色に輝いている。

「バイヤーに頼んで直接買いつけてもらった。デザインは君のイメージで作ってもらったよ」
 デザインまでオーダーなんて、いったいいくらしたのだろう。

「いただけません、こんな高い物」
「値段だけなら断る理由にはならないよ」
 京吾は有無を言わせない口調で微笑する。

「だって、私たちは……」
「恋人なんだから遠慮しないで」
 恋人、という単語に柚花の胸がずきっと痛んだ。

 偽装の恋人なのに、ここまでする必要があるのだろうか。
 確かに期限の話はしていなかった。女が寄ってきて困る、と聞かされたばかりだ。きっと自分は女避けのための偽装恋人だ。

 柚花はぎゅっと眉を寄せた。
 柚花が京吾を見ると、彼は訝し気に彼女を見る。

「……そんなに嫌だった?」
「だって、偽装の恋人なのに」

「偽装?」
 京吾がおうむ返しに言う。

「どういうことだ? 偽装?」
 聞き返す京吾に、柚花は目をしばたたいた。
「私がパーティーに恋人を連れて行かないといけないから、偽装で恋人になってくれたんですよね?」
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