ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「……そう解釈してたわけか」
 京吾は苦笑した。
「便乗して愛しい人を手に入れようなんてしたからかな。楽しようとするとそういう弊害が出て来るんだな」

 言われた言葉を理解するのに、柚花は数秒を要した。

 愛しい人を手に入れようとした。
 愛しい人を……。

 頭の中でその言葉がリフレインする。ようやく理解したとき、柚花は声を上げていた。

「嘘!?」
「嘘って、ひどいな」
 京吾はまた苦笑した。

「だって、普段はぜんぜんそんな感じもなくて……」
「がっついてると思われたくなくて抑えてたんだけど……かえって誤解されてたのか」
 そんなことってある? と柚花はただ呆然とした。

「ああ、俺かっこ悪い」
 京吾は照れ臭そうに片手で顔を覆った。その口元は相変わらず苦笑を刻んでいる。

「か、かっこ悪くなんてないです!」
 とっさに柚花は言っていた。
 照れる京吾はむしろかわいくて、柚花の胸がきゅんとした。
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