ブルーガーネットな恋 ~エリート上司は激愛を隠して部下に近づく~
「それで、俺はふられたってことでいいのかな」
「ふ、ふってなんか、ない、というか、なんというか……」

 動揺し過ぎて、柚花はしどろもどろになってしまう。
 京吾は髪をかきあげ、それから軽く息を吐いた。

「仕切り直させてくれ。――柚花さん」
「はい」
 柚花は思わず背筋を伸ばした。

「俺は君が好きです。結婚を前提に付き合ってください」
 はっきりと言われ、柚花の顔にいっきに血が昇った。
 付き合う、だけじゃない。今度は結婚の二文字がついてきている。

「け、けっ……」
 結婚なんて、と言おうとするのに、それ以上の言葉が出て来ない。

「ダメ、かな?」
「ダメっていうか、そんな……どうして私なんか」

「実を言うと、研修のときから、君のことが好きだった」
「え!?」

「だけど、新入社員の君に研修する立場の人間なのにダメだろうと、言わずにいたんだ」
 ならば当時から自分たちは両想いだった、ということになる。
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