シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
「いつから?」

「成人式の日の夜だよ!
さっき言ったように、今の流行りが兄妹でピアスをつけることってにぃにが言って“だからピアスつけよ!”って言われたの!
ねぇねにも声かけようとしたら、にぃにが“男女の兄妹だけ”って言ってて」 

「そう…
でも、よくあけれたね(笑)
せっちゃん、針刺すの怖いでしょ?」

「あ…にぃにがね。
私が寝てる間にあけてくれたの(笑)」

「そう…(笑)」

「…………ごめんなさい!」

「え?どうして謝るの?」

「ねぇねのこと、仲間はずれみたいにして…
でも、そんな気はなくて………」  

「大丈夫!
そんなこと思ってないから!」

切なく瞳を揺らす世莉に、爽子は安心させるように微笑んだ。

「にぃに!見て!」
「ん?あ、可愛い〜」

「でしょ?
ねぇねがくれたの!」

微笑みネックレスを見せた世莉に、賢雄も微笑み頭を撫でる。
「良かったな!
凄く似合ってる!可愛い!」

「フフ…ありがとう!」


それから爽子も準備をして―――――――

玄関で、賢雄が世莉を抱き上げた。
「……っいしょっと!!」

「あ!けんくん、待って!
まだ、車椅子畳んだまま…」
爽子が慌てて、外出用の車椅子を出そうとする。

「あ、爽姉!
車椅子、そのまま車まで持っててよ!
世莉は、抱っこしたまま駐車場行くから!」

「え?」

「世莉、ちゃんと掴まってろよ?」

「うん」

「………えぇ…わかった」

「先に行っとくね〜」
そう言って、エレベーターに向かう賢雄の後ろ姿を、爽子は切なく見つめていた。

「やっぱり、一度言い聞かせておかなきゃかな……」
ポツリと呟く、爽子。

賢雄の、世莉に対する“異常な干渉”“過剰な世話”“ペアのピアス”“執着”

そして……世莉を見つめる“甘くて熱い視線”

明らかに“妹”を見る目ではない。
 
しかし変に注意し諭すと、賢雄の性格上“強硬手段”に出るとも限らない。

幸い世莉には、できる限り“兄として”接し、世莉はあくまでも“妹として”賢雄を好いている。
それに今後は、ヘルパーと接することで少しずつ外との関わりを持っていくことになる。

「まだ、大丈夫よね……!
変に言って、悪い方に向かっても良くないし…」

爽子は思い直し、車椅子を押してエレベーターに向かった。
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