シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
俺の世莉を取るな
月曜日。
ヘルパー利用初日。

朝から、緊張している世莉。
今日は初日なので、賢雄も仕事を休んでいた。

「世莉、大丈夫?」
「う、うん…」

「俺も爽姉もいるしさ!」
「うん。
にぃにごめんね、仕事休ませて…」

「全然!
俺も、どんなか興味あったし!」

「なんか、私も緊張してきた!(笑)」

「爽姉も?(笑)」
「フフ…ねぇねまで…!(笑)」

「フフ…
けんくんは?緊張してる?」

「全然!」

「だよね(笑)」
「フフ…フフフ…!」

時間になり、クキカワが二人のヘルパーを連れて訪問してきた。

チャイムが鳴り、世莉がビクッと震えた。
「世莉、大丈夫、大丈夫!」
ダイニングチェアに座った賢雄が、世莉を落ち着かせるように頭を撫でていた。

爽子が応対すると、インターフォン越しにクキカワの「ヘルパーステーション・シアワセの花のクキカワです!」と言う声が聞こえてきた。

オートロックを開け、再度チャイムが鳴る。

爽子が玄関に出迎えに行き、クキカワ達を連れて戻ってきた。

「世莉さん、こんにちわ!」
クキカワが世莉の足元にしゃがんで、微笑み見上げ挨拶をしてきた。

「こんにちわ…」
賢雄の服を握りしめ、小さな声で挨拶をした世莉。
賢雄も「よろしくお願いします!」と挨拶をする。

「世莉さん、実平さんには毎週水曜日のお昼ご飯作りだけですが、来てもらえるように調整出来ましたよ!」

「あ…ありがとう…ございます」
少し、ホッとしたように微笑んだ。

「それで、あとの曜日はこちらの二人のヘルパーで回します!
こちらが、アケチさん。
もう一人が、イリエさんです!
アケチさんが月曜の入浴介助と火曜と水曜日の入浴介助。
イリエさんには月曜日のお昼ご飯作りと木曜と金曜日をお願いしてます!
お昼ご飯をこの時間に作りに来てもらって、夕方にまた今度はお風呂を入れに来ますね!」

「アケチです!
武将の明智光秀の“明智”です(笑)
それで覚えてくださいね!」

「イリエです!
こんなおばさんですが、よろしくお願いしますね!」

「よろしく…お願いします」
ペコッと頭を下げた。

「では、世莉さん。
お昼ご飯作らせてもらいますね!」

「はい」

アケチとイリエが、キッチンに移動する。
そしてクキカワが「すみません、私は次の仕事がありまして……ここで、失礼しますね!」と声をかけ、退出した。

世莉は賢雄の手を握りしめ、キッチンを見つめていた。
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