シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
GWが終わった春。

ここは世莉の部屋。
ダイニングキッチンのすぐ横が世莉の部屋で、いつでも爽子や賢雄と接することが出来るようにしている。

ダブルベッドと本棚、ワードローブ、車椅子しかない、シンプルなインテリア。

何故、障がい者の世莉が介護用ベッドではなく、しかもダブルベッドかって?

それは………


寝静まった夜中、世莉が目を覚ます。
“隣で眠っている賢雄を”起こさないように、ゆっくり起き上がった。

そう。
世莉は、賢雄と一緒に寝ているのだ。

まるで自身の恋人のように、世莉を腕枕し抱き締めて寝ている賢雄。

引き取られた時からの習慣なので、二人にとってはそれが普通である。

賢雄を起こさないように、起き上がった世莉。
ごそごそと、車椅子に移乗しようとする。

すると、賢雄が目を覚ました。

「ん…世莉?
どうした?
目ぇ覚めちゃった?」

「あ…ごめんね、起こしちゃって…」

「ううん!
ほら、寝よ?
頭ナデナデしてあげるから…!」

「おトイレ行きたいの」

「あ、そっか!
ん、じゃあ…連れてく!」 

「え?いいよ。
自分で行けるから!」 

「ダーメ!
いつも言ってるよな?
俺がいる時は、俺が世話するって!」

賢雄も起き上がり、ベッドを下りた。
そして、世莉を抱き上げた。

「ほら、ちゃんと掴まらないと落ちる!」  
世莉が、賢雄の首に抱きついた。

「ん、良い子!」と賢雄が微笑む。

トイレに移動し、服を着たままの世莉を便器の上に座らせる。
「じゃあ、ドアの前で待ってるから呼んで?」

賢雄がトイレを出て、ドアを閉める。
世莉は手すりをしっかり握り、片方ずつずらしながらゆっくり下着を下ろし、トイレを済ませた。

水を流す音がして、トイレのドア越しに「にぃにー」と、世莉の呼ぶ声がする。
賢雄が「入るよ〜」と言ってトイレに入ってくる。

先程と同じように世莉を抱き上げ、世莉の部屋のベッドに移動した。

「―――――よし、寝よう!」

世莉を寝かせて、首の下に腕を滑らせる。
そのまま抱き締め、賢雄は世莉の頭を撫で言った。

ゆっくり撫でていると、次第に世莉から寝息が聞こえてくる。

「世莉?寝た?」

「………」

寝たことを確認すると、賢雄は世莉の“口唇に”キスを落として、眠りについた。
< 2 / 46 >

この作品をシェア

pagetop