シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
それから、あっという間に一週間経ち――――――

「じゃあ、せっちゃん。
行ってくるからね!」
「俺も、今日はもう出ないと!
でも何かあったら、遠慮せずに連絡しろよ?」

心配そうな二人に、世莉は微笑み言った。
「大丈夫!
アケチさんも、イリエさんも優しいから!」


「………健気ね…」
「だな。
あれ、確実にから元気だし…」

「そうね(笑)」

エレベーター内で話している、爽子と賢雄。

「世莉ってさ。
“本当の”ワガママは言わねぇよな……」

「え?
本当の、ワガママ?」

「うん。
爽姉はどうかわかんねぇけど、世莉のワガママは俺からすればただの甘えで可愛い。
“横にいて”とか“一緒に〜”とか。
でも本当は“仕事行かないで”って言いたいんだと思う。
ヘルパーだって、爽姉を想って頼むって言い出したんだし」

「そうね…
優しい子だもんね、私達の妹になった日から……!」


そして一方の世莉は………

気を紛らわせるために、好きなアーティスト・青神のライブDVDを見ていた。

しかし緊張で、集中出来ない。
DVDを停止し、テレビを切った。

キッチンへ移動し、冷蔵庫から水筒を取り出す。
賢雄がいつも準備してくれている、カルピスだ。

グラスに入れ、ゆっくり飲む。

ソワソワしながら、テレビを見たり、小説を読んだりして過ごしていた。

時間になり、チャイムが鳴る。
「はっ…!」

インターフォンに近づいて、応対する。
「は、はい」

「世莉さん、こんにちわ!
ヘルパーのイリエです!」

「こんにちわ。
開けます」
返事をして、オートロックを開けた。

玄関に向かい、鍵を開け待つ。
再度チャイムが鳴り「どうぞー」と声をかける。

「こんにちわ!ヘルパーのイリエです!
お昼ご飯作りに来ました!
お邪魔していいですか?」

「はい」

イリエと一緒に中に入る。
ヘルパーと二人っきりになるのは、今日が初めてだ。

「じゃあ、早速作りますね!
世莉さんは、食べたいものありますか?」

「あ…あの…
ねぇねが、これを……」

A5サイズのノートを渡す。
表紙に“交換ノート”と書かれていた。

中には………
【こんにちわ。
今日から、せっちゃんのことよろしくお願いします!
今日は、チャーハンと玉子スープをお願いします。
材料は冷蔵庫に入れてます。
お手数おかけしますが、妹のことよろしくお願いします。
あと、何か要望などがあれば、このノートに書いてください。
姉・爽子】

「お姉さん、素敵な人ですね!」
ノートを読んだイリエが微笑み言った。

「はい!」

爽子と賢雄は、世莉にとって自慢の姉弟。
爽子と賢雄を褒められると、嬉しくなる。

世莉は、嬉しそうに笑った。
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