シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
そんなある日。

月曜の昼。
イリエが昼食を作っていて、世莉はテレビを見ていた。

すると、ショルダーストラップにかけている世莉のスマホの着信音が鳴り響いた。

メッセージが入ってきて……

【世莉ちゃん、お疲れ!
突然だけど、今何してる?
○○の限定プリン買ったんだけど、今から家行っていい?
昼ご飯は、済んだ?
まだなら、弁当か何か買ってくよ!】 

一歩から、メッセージが送られてきた。

【はじめさん、こんにちは。
実は今月から、ヘルパーさんに来てもらってて、今お昼ご飯を作ってもらってます!】

返信すると、一歩から電話がかかってきた。

「あ、一歩さん?」

『もしもし?
そうなんだ!
ヘルパーさんは、何時に帰るの?』

「えーと…1時半です」

『じゃあ、そのくらいの時間に行ってい?』

「はい」

『やった!
じゃあ、また後でね!』


そして……午後1時半前。
チャイムが鳴り、一歩が訪問してきた。

まだイリエが記録をしていて「ん?お客さんかな?」とインターフォンに向かった。

「はい」

『世莉ちゃん!来たよ〜』

「あ、えーと…」

『あれ?誰?』

「すみません、ヘルパーのイリエです」

『あ、早く来すぎた!?
すんません、世莉ちゃんの兄貴の友達です!』

「あ、そうですか!
…………世莉さん、お兄さんのお友達さんですよ!」

「あ、はい!」
世莉もインターフォンの所に来て、一歩に「どうぞ」と言った。


「――――すみません、まだ記録をしてて…」
イリエが申し訳なさそうに言う。

「いえいえ!
俺が早く来すぎたのが悪いので!すんません!
あ!ヘルパーさんも、プリン食べます?
いっぱい買ってきたんで!」

「いえ!
頂けません!
お気持ちだけ(笑)」

「そうすか?
じゃあ…世莉ちゃん、食べよ?
コーヒーも買ってきたよ!」

「ありがとうございます……!」

「ソファ行こうか?
俺、抱っこするからさ!」

「あ、はい」

「じゃあはい!俺に掴まって?」

首に腕を回した世莉を軽々と抱き上げ、ソファに座らせた。

隣に座り、プリンとコーヒーを置く。
プリンの蓋を開け、スプーンと一緒に持たせた。
「どうぞ?」

「ありがとうございます。
頂きます…!」
  

その光景を、イリエは見つめていた。
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