シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
退出して、イリエが駐車場に向かう。

すると、セダン車が近づいてきた。
イリエの前で止まったセダン車。
運転席の窓が開いて、賢雄が顔を出す。

「お疲れ様です!
今帰りですか?」

「あ、お兄さん!
はい、記録してたらちょっと時間かかっちゃって……(笑)
すぐ、車出しますね!」

いつも賢雄が停めている所にイリエとアケチが停めさせてもらっているので、鍵を出しながら言った。

「あ、はい(笑)すみません。
あ!世莉、どうですか?」

「今日も、完食していただきました!
あ、今、お兄さんのお友達さんが来られてて…!
プリンとコーヒーを飲まれてますよ!」

「…………は?友達?
それって、一歩!?」

「え?おそらく…
確か、ハジメさんっておっしゃってたから」


イリエに断り、慌てて車を停めてエレベーターに乗り込む。

バン!!と玄関ドアを開け、駆けていく。

「世莉!!!」

「え?あ!にぃに!」
ふわりと笑う、世莉。

「ゲッ…賢雄、なんで帰ってくんの?
まだ、昼だぞ?」

「は?
最近残業が多くて、やっと一段落ついたから、今日は半休!!
………って!そんなことはどうでもいいんだよ!!
お前、勝手に上がり込むんじゃねぇよ!!」

「いいじゃん!
美味しいプリンを買ったんだし!
お前のもあんぞ?」

「いらねぇよ!
帰れ!」

「はぁ…
はいはい…(笑)
世莉ちゃん大変だね(笑)シスコン兄貴で!」
ため息をつき苦笑いをする、一歩。

「あ…あの…」

「また、来るね!
爽姉ちゃんにも、プリンあげて!」

「は、はい」

世莉の頭をポンポンと撫でて、出ていったのだった。

出ていく一歩を睨み付け、出ていったのを確認してから世莉の隣に座った賢雄。

「世莉、ただいま!」
改めて微笑み挨拶をする。

「おかえりなさい」

「着替えてくる!
ちょっと待っててね!」

「………」

着替えて戻ってきた賢雄が、隣に座りいつものように腰を抱いた。

「にぃに」

「ん?」

「ごめんなさい…」

「え?
なんで謝るの?
世莉は何も悪いことしてないだろ?」

「でも私のせいで、一歩さんとの関係が悪くなったんだよね?
この前の美容室でもそうだったし…」

「世莉のせいじゃないよ?
ほんとだよ?」

安心させるように微笑み、頭を撫でた。
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