シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
世莉は、ずっと賢雄と一歩の関係を気にしていた。

それでおもいきって、一歩に連絡をした。

『もしもし?
嬉しい〜世莉ちゃんから、連絡くれたー!』

「あ、あの!
今、時間大丈夫ですか?」

『うん!
今日休みだし!』

「あの…今から会えませんか?」

『え!?
もちろん!
すぐそっちに行くね!!』

「はい、出来れば…
すみません。
せっかくの休みなのに…」

『全然!
世莉ちゃんに会えるなら、何時でも、何処でも会いに行くよ?
ちょっと待っててね!』


20分後。
一歩が来て“散歩しよ?”と誘われた。

二人は、近くの公園に向かった。

車椅子をベンチの横につけ、一歩がベンチに座る。
「で?なんかあった?」

「えーと……
一歩さん、にぃにと喧嘩したんですか?」

「え?
なんか…唐突だね(笑)
してないよ、喧嘩」

「でも、最近言い合ってばっかだし…
私のせいですか?
にぃには“関係ない”って言ってるんですが、にぃには優しいから、私に気を遣ってるんじゃないかなって…」

「世莉ちゃんのせいじゃないよ」

「ほ、ほんとですか?」

「でも……
関係なくはない」

「え……」

「俺からも聞いてい?
……………世莉ちゃん、彼氏作ろうとか思わないの?」

「え?
それは……
私、こんなだし…」
切なく瞳を揺らし、膝に触れる。

「障がいがあることと、彼氏作らないことは関係ないでしょ?」

「え?」

「じゃあ、障がいがあっても関係ないって言う男が現れたら、彼氏作ろうって思えるってこと?」

「えーと……」

「………」

「………」

「それとも…さ…」

「え?」

「“賢雄って存在のせい?”」
一歩が、真っ直ぐ見て言った。

「………」

「あいつ、シスコンだろ?
世莉ちゃんが、事故に遭ってから特に!
過保護で、世話焼きで、世莉ちゃんを離さない。
だから世莉ちゃん、彼氏作れないとかじゃない?」

「…………わかりません。
私、事故に遭ってから、将来が見えなくなったので……
ねぇねとにぃにが傍にいてくれる限りは、恋愛とか考えられないです。
正直、今が幸せだから……!」

「………」
世莉の想いに、一歩が項垂れた。

「え?一歩…さん?」

「世莉ちゃん、俺――――――」

そこに、ポツポツ…と雨が降り出した。
< 24 / 46 >

この作品をシェア

pagetop