シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
なんか俺達、夫婦みたいだな!
一歩の告白を受けてから、世莉は“恋愛について”考えるようになっていた。

でもだからって、すぐにどうこう出来ることでもない。

やっぱり今は“このままがいい”と思っていた―――――――――



世莉は月に一度、爽子の勤める病院に通院している。

誰だってそうだろうが、世莉も通院が苦手だ。

特に………


「せっちゃん、明日の通院は血液検査の日だからね!」

「え……も、もう…?」
爽子と入浴中、そう言われて固まってしまう世莉。

「うん。
半年に一回はしないとね!」

「わ、私、元気だよ?」

「うん、それは検査結果見てから判断する」

慌てたように弁解しても、爽子には冷静に返される。
それは、毎回のことだ。


「にぃに、明日行きたくない…!」 

風呂を上がり、賢雄に助けを求めるように甘える世莉。

「でも薬貰わねぇとだし、検査してもし万が一があったら早く対処しないとだろ?」
しかし、賢雄にも冷静に返されるのだ。

「俺が連れてってやるんだし、ずっと傍にいるから!な?
頑張ろ?」

賢雄に説得され、なんとか頷くのだった。


次の日。
賢雄に連れられ、病院に向かう世莉。

助手席に座る世莉に、賢雄は赤信号で止まる度に安心させるように頭を撫でる。

“大丈夫だからな!”と。

それは世莉に“この上ない安心を”与えるのだ。

世莉は注射が大の苦手で、爽子か賢雄と手を繋がないと針がさせない。

そのためいつも、こうやって賢雄は安心させるように声をかける。


病院に着き、受付をして待合室で診察を待つ。

車椅子を椅子の横につけ、賢雄は椅子に座る。
すると必ず世莉は、賢雄に「にぃにの横座りたい」と言ってくる。 

世莉は基本的に、爽子や賢雄の隣に座りたがる。
車椅子に座っていると、距離のようなモノを感じるからだ。

そのため、毎回言ってくる事でわかりきっていることだが、賢雄は“世莉の方から”隣に座りたいと甘えてきてほしくて、いつも“わざわざ”車椅子を隣につけるのだ。

「ほら、おいで?」

今回も当然のように言ってきたので、賢雄は嬉しそうに世莉を抱き上げ、隣の椅子に座らせた。
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