シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
トイレを済ませ、賢雄を呼ぶ。
その後トイレ前に世莉を待たせ、賢雄もトイレに入った。

ボーッと人の流れを見ていた、世莉。

「世莉!」

振り向くと、賢雄が微笑み駆け寄ってきた。

「お待たせ!
なんか、飲まね?」

「うん」

「何がい?
コーヒー?それとも、カルピスにしようか?」

「ねぇ、にぃに」

「ん?」
世莉の足元にしゃがんで見上げる、賢雄。

「にぃには、恋人さんとか作らないの?」

「………」

「………」

「………は?」

「やっぱり、私のせいで作れないの?」

「…………いらねぇよ、恋人なんか」

「え?」

「俺はいらない。
世莉がいれば、それだけでいい」

「にぃに…」

「いつも言ってるだろ?
俺がずーっと傍にいて、守ってやるって!」

「私、にぃにの足枷じゃない?」

「そんなわけないだろ?
世莉は、俺の“天使!!”」

「天使?(笑)」

「あぁ!
世莉といると、癒されるから!
世莉が妹になった、あの日からずっとな!
いつも笑ってて、甘えてくる姿が可愛くて…
事故に遭って辛いのは世莉なのに、それでも世莉は俺と爽姉にいつも笑って接してただろ?
爽姉もだろうけど、俺はその笑顔にいつも救われてたんだ!」

“だから世莉は、俺の天使だよ!”

そう言って笑う賢雄に、世莉も嬉しそうに笑った。


カルピスを購入し、車に乗り込む。
世莉は、運転中の賢雄をジッと見つめていた。

「世莉」

「ん?」

「どうした?」

「え?」

「俺のこと、ずっと見てるだろ?何?」
運転中なので、前を向いたままの賢雄。
前を向いたまま、問いかけてきた。

「にぃには“ヒーローだな”って見てた!」

「はい?」

「にぃに、私のこと“天使”って言ってくれたでしょ?
だったら、にぃには何かなって考えてたの。
にぃには、私にとって“ヒーロー”
何かあったら飛んできてくれて、いつも見守ってくれて、助けてくれるから!」

「フッ…!
当たり前だろ?
俺がずーっと守ってやる!!」
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