シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
「世莉さん、青神好きなんですか?」

実平とツクイの作った牛丼を食べている、世莉。
二人で風呂掃除などをしたため余裕があり、ツクイが声をかけてきた。

「あ…はい」

「へぇー!
僕、タクに似てるって言われるんですよ!」

「あ…フフ…!」
(私も、似てるって思ってんだよね(笑))

「でも僕、ヒデ推しなんです…(笑)
なので、ヒデに似たかったです…」

「え?(笑)
あ…フフ…
ねぇねも、ヒデ推しです」

「へぇー!
そうなんですね~!
世莉さんは、誰推しですか?」

「あ…タク…です//////」

「そうなんですね!
…………ん?てことは、僕?(笑)」

「え!?//////」

「フフ…なーんて!(笑)
似てるってだけなのに、すみません(笑)
調子に乗りました!」

「フフ…フフフ…!」
「世莉さん、笑いすぎですよ~(笑)」

「…………珍しい…!」
世莉とツクイを見て、実平が呟いた。

「え?」

「せっちゃんが、けんくん以外の男性にこんな早く打ち解けてるの(笑)」

「そ、そんなことは…」

「さすが、ツクイくんね!
人の心を掴むのが上手い!」

「そうですか?(笑)」

「でも、この分なら明日大丈夫かな?」


その日の夜。

「―――――世莉、寝ようか?」
賢雄が声をかける。

「せっちゃん、おやすみ!」
「ねぇね、おやすみなさい!」

部屋に入り、賢雄が電動車椅子からベッドに移乗し寝かせる。
隣に横になり、腕を世莉の首の下に滑らせた。

いつもは、この状態でゆっくり頭を撫で寝かせるのだが………

今日は、そのまま抱き締めた。

「え?にぃに?
…………うぅ…苦し…」

「世莉」

「え?」

「俺から離れるなよ?」

「………え?」

「なんか…世莉が遠くに行きそうで……」

今日の交換ノートには………

【こんにちは、ヘルパーのツクイです。
明日のせりさんの昼食調理のため、今日同行させていただいてます。
昼食の牛丼、苺ヨーグルトを完食してます。
緊張していたようですが、青神の話をすると笑顔が出てきて、せりさんの方から「明日、よろしくお願いします!」と言ってくれました。
この調子で、明日のケアをしたいと思ってます!】

世莉が明日のケアに不安を感じていない。
今日初めて会った“男に”心を許している。

この事実が、賢雄にこの上ない不安をもたらしていた。
< 38 / 46 >

この作品をシェア

pagetop