シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
次の日。

「世莉、なんかあったらすぐ連絡して?」

「うん」

「ほら、相手は男だろ?
何があるかわかんねぇし!」

「ツクイさんは、そんなことしないよ?」

「そんなこと、なんでわかんの!!?」

「え……」

賢雄が声を荒らげてきて、世莉はビクッと震えた。
世莉に向けてくるのは、初めてのことだったから。

「………は…っ!?
ご、ごめん!世莉!
俺、つ、つい……
ごめん!ごめんな!!」

賢雄はハッとして、慌てて世莉に謝罪をする。

「ツクイさん、恋人…いるって、言ってた…から…
恋人がいる人は、そんなこと、しないでしょ?」
怯えるように言ってきた世莉。

賢雄は「そ、そっか!そうだよな!」と、世莉の頭を撫でた。
そして、切なく揺れる世莉の目を覗き込むようにして、何度も謝罪を繰り返した。


「――――世莉さん、どうしました?
なんか、元気がないですね…」

「いえ…」

「………
あ、もうすぐ花火大会がありますね!
確か世莉さんは、実平さんの家で毎年見てるんですよね?
いいなぁ〜!」

「あ、はい。
とっても綺麗ですよ」

「俺も彼女と行く予定なんですが、いつも帰りは潰されそうになってます!(笑)」

「あ…(笑)
そうですよね…
…………彼女さんとは、長いんですか?」

「えーと……
もう…5年?になるかな?」

「じゃあ、結婚とか?」

「そうですね。
そうなれたらいいですけど……
ほら僕、介護職でしょ?
なかなか……」

「ダメなんですか?」

「金銭面が…ね?(笑)」

「彼女さんにそう言われたんですか?」

「まさか!
彼女は、そんな事言う人ではないです!
僕のこと“凄いね!”って言ってくれてて!
彼女も、ずっとおばあさんの介護をしてきた人なので」

「だったら!
何も心配はないと思いますよ!
私だったら、私も働いて一緒に支え合っていきたいです!」

「世莉さん…」

「………」

「………」

「…………あ!す、すみません!
生意気なこと言って……
………そんなこと言っておいて、私は迷惑ばかりかけてますが……」

「迷惑?
お姉さんや、お兄さんが迷惑って言ったんですか?」

「え?」

「僕は、お姉さんとお兄さんに会ったことないですが、この交換ノート見る限り“迷惑”だなんてこれっぽっちも思ってるように見受けられませんよ?」

ツクイが、真っ直ぐ見て言った。
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