シスコンでは終われない〜俺と妹と…時々姉〜
「――――世莉ちゃん、そろそろ返事聞かせてくんないかな?」

後日。
一歩がプリンを持って、家に来た。

「………」
世莉は、一歩を見据える。

「………」
一歩も、真剣な表情で見返した。

「ごめんなさい!」

「あ…やっぱ…ダメ?」

「やっぱり私…
恋愛は考えられないです……!
ねぇねとにぃにと一緒にいたいので!」

「そっか…
……………うん、ありがと!
ちゃんと考えてくれて!
はっきり言ってもらって、良かった!」

「ごめんなさい」

「ううん!もう、いいって!
……………でも…さ……一つ聞いてい?」

「はい」

「賢雄のこと、どう思ってるの?」

「え?にぃに、ですか?
どう…って……?」

「男として!」

「え?え?
えーと……にぃには、にぃにというか…」

「ほら、賢雄と世莉ちゃん血は繋がってないじゃん?
要は結婚だって出来るでしょ?」

「考えたことないです…」

「そっか!」

「でも……」

「ん?」

「もし……結婚するなら、にぃにみたいな人が良いです――――――――…………」



その日の夕方。
仕事を終えた賢雄のスマホに、一歩から連絡が入った。

「なんだよ」

『賢雄!
今日、俺に付き合え!!』

「は?やだ」 

『は?
お前に拒否権ねぇから!
お前は俺に付き合う、責任があんだよ!!』

「だから!何言ってんの!?」

『ふ、ら、れ、た、の!!!』

「…………は?」

『世莉ちゃんにふられたの!!!』

「へぇー(笑)」

『だから、付き合え!!!』

賢雄は一歩に呼び出され、居酒屋に向かった。


「―――――今日、お前の奢りな!」

「フフ…はいはい…(笑)」

「嬉しそうだな」

「まぁな!」

「そりゃ嬉しいだろうよ…
世莉ちゃん、にぃにが大好きだもんなぁー」

「フフ…」

嬉しそうに笑う賢雄を、一歩は何とも言えない表情で見つめた。

「………」

「………ん?なんだよ…」

「………」

「………一歩?」

「……………にぃにがいいんだと…!」

「は?」

「結婚するなら、賢雄みたいな人が良いんだって」

「………」

「………」

「………え?」


「もちろん、今は結婚とか考えられないし、賢雄と結婚とか考えたことないらしい。
でも!
“結婚するなら”
賢雄みたいな人が良いってさ……!!」
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